リブラ舎の「この世」のしごと

編集ライター・リブラ舎です。本と雑誌、WEBもいろいろつくります。仕事履歴、日々の雑感を綴ります。

マギー先生のこと

占い師のマギー先生が亡くなったと聞いたのは3月末だった。

でも、公式ブログもそのままだったので、なんとなくまだ、認めたくないような気持ちでいた。

 今日見たら、公式ブログにもご逝去の報が。嗚呼。

これまで取材した先生の中でも、とても印象深い先生だった。

「占い」についてではなくて、もっと、いろいろなことを教わったように思う。

先生のことを思い出して、書き留めてみる。

 

 

はじめて先生に取材した日。先生から指定されたお店が駅直結のイタリアンで、その日は大雨で、

「雨だったからちょうどよかったですね」と言ったら

「だから予約しておいたのよ」と。前々から天気予報を見て(占いによって?)、店を予約しておいてくれたのだった。それも、嫌みではなく、だいぶ年下である私に、(そういうものよ)と教えるように。自分の浅さを知ったし、大人の女性とは、頭がよく、気が利き、ウィットに富んだ人のことを言うのだと知った。

 

マギー先生は、そういう人でした。

 

「おみやげに」と、そして、「みんなには無いから内緒でね」と添えて、超おいしい、きっとどこかの有名なお店の、アールグレイティーの茶葉をくれました。私はコーヒー派だけど、この紅茶のおいしさには驚いた。とても幸せな味だった。

 

別の日には、チェリーの香りの、ロクシタンのハンドクリームをくれた。これも、つけるたびに幸せになれる香りだった。

 

プレゼントの選び方が、絶妙だと思った。小さな幸せをもたらしてくれるもの。

何気なく、「あいさつ」を交わすようにプレゼントを贈ること。

私も、そうでありたいと思って、時々(ほんと時々だけど)実践している。

 

マギー先生に取材をしたのは、

インクルージョンストーン」の特集。

私は、べつにパワーストーンが好きなわけではなくて、ローズクオーツもアクアマリンにもとくに惹かれないのだけど、虫入りとか、ガーデンとか、ルチルとか、中に何かを内包しているインクルージョンの石が、時が止まっている感じがとても好きで、「ガーデンクオーツなら、何時間でも見ていられます。その時々によって、深い森に見えたり、深海に見えたり、高層ビル群に見えたりするんです。そして、鳥が飛んだり、魚が泳いできたり、車や人ごみが見えたりするんです」と、とても感覚的な説明の仕方で、「好き」を表現したら、同意してくれて、何時間もインクルージョンの話をして、そして、自慢のコレクションを見せてくれた。超立派な、虫入りの琥珀。すばらしかった。

(なぜかよく覚えているのは、大きな窓のある先生のオフィスにそのとき夕日が差してきて、光が琥珀色だなーと思ったこと)

先生の琥珀は何十万円もするらしい。私も琥珀がほしくなって、そのあと、ミネラルショーで、小さな羽虫入りの琥珀を買ったのだった。1000円くらいで。今でも、ときどき、ペンダントトップにしてつけている。

 

あと、もうひとつ取材した。これは休刊前、最後の号だった。「日本の開運力」と題して、見えないものを信じる日本人独特の「開運」について、古代から現代までをなぞるように、その時代に根付いていた開運法を聞いたのだった。盟神探湯(くがたち)、とか方違えとか夢解き人とか、はじめて知ることばかりだった。先生は、とても、歴史や風俗、宗教に造詣が深く、そういう意味では、単に「スピリチュアル不思議系」な先生とは一線を画していて、

かといって、完全に学問としているわけでもなくて、そこに「心」があって、女性らしく、やっぱりそれは、「占い」で、さまざまな形で(たとえばAKBとコラボしたり)社会の中で、波にのりながら、地に足をつけていたように思う。

私の興味関心の好みにドンピシャで、そしてやわらかさと厳しさ(時おり、ぴりっとした空気にすることがある。たぶんわざと)のバランスがよいと思っていた。

 

自分もそうありたい、と思うということは、疑いようもなく憧れていたのだと思う。

 

休刊になったあと、編集部のみんなと先生でお昼を食べた。

神楽坂で。そのときのメニューは、10数品くらい、小さなおかずがワンプレートにのっていて、目にも鮮やかな、健康的なランチだった。先生と一緒のランチ女子会。最初で最後だった。

その帰り際、先生に「実は、やめることになりました」と、ひそひそと伝えたら、驚きつつ、応援の言葉をかけてくれた。そのとき、再会を約束した気がするけれど、そのまま、時が止まってしまった。

私の中で、先生は、元気なままでした。

マギー先生、ありがとうございました。